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打抜き

ブスバー打抜きのプレス力選定

せん断強さと穴の周長から、その仕事に実際に必要な打抜き力を求め、300–800 kN の機械に妥当な余裕をもって対応づける方法。引張値をせん断値として引用する誤り、質別の差し替え、同時多数抜き、せん断角付きパンチの実際の効果、そして平均ではなく最悪条件で選定するという原則まで。

読了目安 10 分更新日 2026-08-18

打抜き力は、ブスバー加工の中で、原理から正確に、30 秒ほどで計算できる数少ないもののひとつです。同時に、 前の機械の値をそのまま写して仕様が決められることが最も多いもののひとつでもあります。この 2 つの事実は うまく折り合いません。計算は難しくない一方で、誤ったときの損失は双方向に生じるからです。能力不足の プレスは、よりによって肝心な仕事で止まります。過大なプレスは、使う必要のなかった資本です。

計算式

打抜きは、バーから材料の円柱をせん断して抜き取る加工です。せん断される面積は穴の周長に板厚を掛けた もので、必要な力はその面積に材料のせん断強さを掛けたものです。

F = perimeter × t × τ

丸穴であれば周長は π × d となり、多くの人が覚えている形になります。

F = π × d × t × τ

dt は mm、τ は N/mm² で、力はニュートンで求まります。kN にするには 1000 で、メートルトンに するには 9807 で割ってください。

異形穴(長穴、長方形、小判形、バスダクトのルーバー)では、周長は公称寸法ではなく展開した切断長です。 コーナー R が 5 mm の 20 × 40 mm 長方形穴の周長は、おおよそ 2 × (20 + 40) − 8 × 5 + 2π × 5 で、 コーナーを無視して得られる 120 mm ではなく約 111 mm になります。穴 1 つならこの差は誤差の範囲です。 8 個同時であればそうではありません。

使うに値するせん断強さの値

答えを決める変数はせん断強さであり、そして人が当て推量で済ませるのもここです。以下の数値は、実際に ブスバーとして出てくる合金と質別について、公表されている金型メーカーのデータから取ったものです。選定用の 代表値であって保証最小値ではなく、材料証明書があれば常にそちらが優先します。

材料 質別 せん断強さ(代表値)
C11000 電気銅 軟質 / 焼なまし ~152 N/mm²
C11000 電気銅 半硬質 ~179 N/mm²
C11000 電気銅 硬質 ~193 N/mm²
1100 / 1350 系アルミニウム O(焼なまし) ~62 N/mm²
1100 / 1350 系アルミニウム H14 ~76 N/mm²
6101 アルミニウム T6 ~150 N/mm²
6061 アルミニウム T6 ~207 N/mm²

非公式に出回っている数値について、2 点訂正しておきます。第 1 に、銅はしばしば 200–230 N/mm² と 引用されますが、これは高すぎます。それらは引張強さであり、せん断強さであるかのように使われたものです。 EN 13601 のもとで、Cu-ETP のバーは引張強さで、軟質 R220 が 220–260 N/mm²、半硬質 R240 が 240–300 N/mm²、硬質 R290 が 300–360 N/mm² と規定されています。上表の 実測せん断値は、対応する引張値のおおむね 0.65–0.70 倍であり、経験則としてよく言われる 0.8 ではありま せん。引張値しか手元にない場合、0.8 × 引張値は安全側の代用にはなりますが、銅では 15–20 パーセント 過大に見積もることになります。

第 2 に、「アルミニウムはおよそ 80 N/mm²」が成り立つのは軟質の 1xxx 系導体グレードだけです。機械的強度と 耐クリープ性が求められる場面で押出ブスバーの標準合金となる 6101-T6 は、そのおよそ 2 倍です。 80 N/mm² で選定したプレスに 6101-T6 のバーを流せば力が不足します。しかもその不具合の出方は、きれいに 止まるのではなく、途中まで打ち抜かれた穴にパンチが刺さったままになるというものです。

計算例

よくある条件を取り上げます。板厚 10 mm の半硬質銅に、M12 のボルト通し穴、径 13 mm。

F = π × 13 × 10 × 179
  = 40.84 × 10 × 179
  = 73 100 N
  ≈ 73 kN  (7.5 tonnes)

同じバーが 6101-T6 のアルミニウムで、τ ≈ 150 の場合。

F = π × 13 × 10 × 150 = 61 300 N ≈ 61 kN

そして中位クラスの機械に通常求められる最大の穴、板厚 16 mm の硬質銅に 32 mm。

F = π × 32 × 16 × 193 = 310 400 N ≈ 310 kN  (31.7 tonnes)

どの機械を買うかを決めるのは最後の数値であり、それが 1 行の計算から出てきます。任意の穴と材料の組合せに ついて同じ計算を ブスバー打抜き力計算ツール で実行できます。

ストリップ力と、それを合計に含める理由

抜きカスが分離した後、バーはパンチ側面へ弾性回復して締め付けます。パンチを引き抜くには実際に力が必要で、 それをストリッパが供給し、機械が反力を受け持ちます。

公表されている経験則は、ストリップ力を打抜き力の 5–20 パーセントとしています。MetalForming の金型設計 指針は 10–30 パーセントを挙げ、軟らかい材料や小さいクリアランスではより大きくなると注記しています。銅は 軟らかく、この範囲の上のほうに寄る傾向があります。銅ブスバーの選定では、打抜き力の 15 パーセントが根拠を 示せる実用値で、クリアランスを帯域の小さい側で運転しているなら 20 パーセントです。

先ほどの 310 kN の例では、これがおよそ 45–60 kN に相当します。最大打抜き力と同時には発生しないため、 必要加圧力に単純に加算されるわけではありません。ただしストリッパ、ツールホルダ、フレームには確実に荷重を かけます。公称上は十分なはずの機械がびびったり穴位置がずれたりする原因はここにあります。ストリップ力が 高めに出ている場合、原因はプレスではなくクリアランスであるのが通例で、これは パンチとダイのクリアランス の記事で扱っています。

平均ではなく最悪条件で選定する

開閉装置の仕事における平均的な穴は、板厚 6–10 mm の銅に開ける M10 または M12 のボルト通し穴で、 40–75 kN を要します。この数値で機械を選定すれば、その仕事はできないと確定します。

最悪条件は、次の組合せです。

  • 図面群の中で最大の穴。長穴や切欠きも含め、公称寸法ではなく展開周長で測ったもの
  • 加工する最も厚いバー。最大の穴が開くバーとは違うことがよくあります
  • 受け入れる最も硬い質別。硬引きのバーはせん断強さで半硬質よりおよそ 8 パーセント、焼なまし材より 27 パーセント強く、調達は供給が逼迫すれば質別を差し替えます
  • 1 ストロークで複数の穴を打つ場合の、最大の同時抜き数

機械がこれらに耐える必要があるからといって、実際の部品でそれらが同時に発生する必要はありません。発生 しうる、というだけで十分です。「銅、板厚 12 mm まで」と書かれた入札仕様と、32 mm の穴を含む図面群が あるなら、そのような部品がまだ存在するかどうかにかかわらず、板厚 12 mm の硬質銅に 32 mm の穴、すなわち 233 kN を想定しなければなりません。

質別の差し替えは目に見えないため、特に注意に値します。バーの外観は同じです。最初の兆候はたいてい、 先月まで問題のなかった機械でのバリ高さと穴位置のずれです。

同時多数抜き

1 ストロークで複数の穴を打てば、力は穴数倍になります。厳密に比例します。板厚 10 mm の半硬質銅に M12 の 穴 4 つを 1 ストロークで打てば 4 × 73 = 292 kN であり、ストリップ力とフレームのたわみを考慮すれば 300 kN の機械には収まりません。

同時抜きを現実的にする方法は 2 つあります。ひとつはパンチ長を段違いにして順次噛み込むようにする方法で、 力をストローク全体に分散できる代わりに、ストロークは長くなり横荷重は大きくなります。もうひとつは高い 打抜き速度で順次打つ方法で、CNC ブスバー加工機はそのために造られています。毎分 150–200 ヒットであれば、 4 つの穴を同時抜きではなく個別に打つことによる時間の増加は 2 秒未満で、加圧力の問題は完全になくなります。 開閉装置の仕事の大半では、この取引は成立します。

せん断角を研削したパンチ端面

平面のパンチ端面は周長全体を一度に切るため、最大荷重は計算値そのものとなり、破断貫通時の除荷も急峻に なります。パンチ端面にせん断角を研削すると切断のタイミングがずれ、最大値が下がります。

その効果は板厚に対するせん断深さの比によって決まり、厚いブスバーでは販促資料が示唆するほど大きくはあり ません。Roper Whitney の公表指針は、せん断角によって打抜き力を最大 50 パーセント低減できるとしつつ、 最も効果的なのは 14 ゲージ以下であるという条件を添えています。当該の板厚域では H. Weiss のせん断係数の 表のほうが役に立ちます。板厚 1/4 in(6.35 mm)の材料で、せん断深さ 1/16 in(1.6 mm)なら係数 0.90、 3/32 in(2.4 mm)なら 0.85、3/16 in(4.8 mm)なら 0.65 です。

ブスバーにおける実務的な読み方は、控えめなせん断深さで得られるのは板厚 6 mm の銅で 10–15 パーセント、 板厚 12 mm ではそれに比例して小さくなる、というものです。同じ比を保つにはせん断深さも板厚とともに 大きくしなければならないからです。せん断角が救ってくれるという前提で機械を選定しないでください。破断 貫通時の衝撃に対する保険、そして抜きカスの管理の助けとして扱い、加圧力は平面パンチの数値から計算して ください。

最も小さい穴を除いては、片刃ではなく山形のせん断角を使ってください。片刃はつり合いの取れない横荷重を 生み、パンチをたわませてガイドに荷重をかけます。

余裕の取り方

最悪条件の打抜き力を求めたら、計算式が織り込んでいない事柄に対する余裕を加えます。

  • 金型の状態: 摩耗したパンチは、鋭いパンチよりも実質的に大きな力を要します。刃先の R が大きくなり、 切断のうち変形が占める割合が増えるためです。織り込まれていない項目の中では、これが単独で最大です。
  • 質別と板厚の公差: バーは板厚公差の上限、強度範囲の上限で届くことが、無視できない頻度であります。
  • フレームのたわみと油圧のディレーティング: 定格加圧力は、定格圧力かつ規定温度における、ラムでの 値です。
  • 将来の仕事: 機械は 15 年その工場にあり、仕事の構成は変わります。

実用的な原則は、最悪条件の計算値が機械の定格加圧力のおよそ 60–70 パーセントを超えないように選定すること です。これは規格ではなく積み上げられた慣行ですが、公表されている機械の限界値が実際にどこにあるかとも整合 します。下表の 800 kN 機では、公表されている最大の穴を公表されている最も厚いバーに開けた場合、硬質銅で およそ 485 kN、定格の約 61 パーセントになります。これは偶然ではありません。

実際の機種構成への対応づけ

最悪条件の計算を各フレームサイズの公表能力に当てはめると、そのまま選定表になります。以下の数値は すべて、悲観側にあたる 193 N/mm² の硬質銅によるものです。

定格加圧力 代表機種 最大板厚での穴 必要な力 使用率
300 kN SMART-303CNC-S, 160 × 15 mm 15 mm に 22 mm(導出値) 200 kN 67%
350 kN BPM-303CNC, 160 × 15 mm 15 mm に 26 mm(導出値) 236 kN 68%
400 kN EMAC-BP-40, 205 × 12 mm 12 mm に 32 mm(公表最大) 233 kN 58%
600 kN EMAC-BP-60, 210 × 16 mm 16 mm に 32 mm(公表最大) 310 kN 52%
800 kN EMAC-BP-80 / IMAC-CENTER, 300 × 20 mm 20 mm に 40 mm(公表最大) 485 kN 61%

「公表最大」の行は、公表されている最大板厚におけるメーカー公表の最大穴径です。「導出値」の 2 行は、 これらの機械が最大穴径を公表していないため、定格加圧力のおよそ 3 分の 2 で計算上許される最大の穴を 示したものです。

この表は価格表ではなく選定の目安として読んでください。300 kN クラスは、160 × 15 mm のバーに M12 と M16 の穴配置という盤の仕事を、特殊なものがない限りカバーします。 400 kN の EMAC-BP-40 は、板厚 12 mm の バーによる開閉装置の仕事の大半を毎分 150 ヒットでカバーします。600 kN への段は、力だけでなく板厚 16 mm の能力を買うことであり、800 kN への段は板厚 20 mm と 40 mm の穴を買うことです。

EMAC-BP-60
仕様
項目単位
加圧力
プレス力(打抜きユニット)600kN
プレス力(切断ユニット)600kN
速度
X軸最大速度100m/min
最大打抜き速度180HPM
加工能力
X軸最大ストローク1500mm
最小端材長さ55mm
最大打抜き穴寸法32mm
最大ブスバー寸法(長さ × 幅 × 厚さ)6000 × 210 × 16mm
金型
打抜き金型セット数8set
切断金型セット数1set
エンボス金型セット数1set
制御
制御軸数3
精度
穴ピッチ精度±0.20mm/m
電力
総設備容量15.7kW
寸法・質量
機械寸法(長さ × 幅)9585 × 3454mm
機械質量3600kg

大きな切欠き、バスダクトのルーバー、その他展開周長が 100 mm を超えるものが仕事に含まれるなら、丸穴の 計算が何を示していようとひとクラス上げてください。最も速く増える項が周長です。

800 kN クラス は、穴とはまったく関係のない 理由でも意味を持ちます。打抜きと切断を兼ねる機械では、切断ステーションがバーの全断面を切り落とさなければ ならず、300 × 20 mm の銅では 6000 mm² の切断面になります。切断 に必要な力は 単純な周長の式ではなく刃の形状とすくい角によって決まりますが、フレームはそれを受け持たなければなりません。 幅広で厚いバーでは、フレームサイズを決めるのがパンチではなく切断側であることが頻繁にあります。

計算式が教えてくれない 2 つのこと

力は能力と同じではありません。加圧力は十分でも位置決め精度が不十分なプレスは、間違った場所に穴を開けます。 DIN 43673-1 に従ったボルト接続の穴配置では、それは廃却されるバーを意味します。 穴ピッチ精度、繰返し精度、バー送りの剛性は別の仕様項目であり、別に検討する価値があります。

力は打抜き速度についても何も語りません。そして機械が採算に乗るかどうかを決めるのは打抜き速度です。毎分 150 ヒットの 400 kN 機と毎分 200 ヒットの 800 kN 機は、生産の提案として別物です。M10 と M12 のボルト 通し穴が大半を占める仕事、すなわちどちらの機械も加圧力の限界には遠く及ばない仕事では、意味を持つ数値は 打抜き速度だけです。打抜き速度と金型寿命、そして穴の実際のコストとの関係は 金型寿命と穴あたりコスト で扱っており、切断そのものの 力学は ブスバーの打抜き の概要で扱っています。

技術的背景

見積依頼

バーと工程の情報が具体的なほど、最初の回答は的確になります。必須項目はご連絡先のみです。